【合格体験記】特別長編:全国模試600満点中15点から神戸外国語大学合格(からの慶応大学大学院)(その5)
そんな絶望の中にいたある日、いつものように鍼を受けていた。するとふと他の患者さんが入って来た。その患者さんは入るやいなや「ウワッ」と大声を上げてよろめいたのだ。きくとこの患者さんは気功の先生であるらしい。僕の「気」が部屋中暴れちぎっているというのだ。元々、精神世界や宗教的なものに疎い自分ではあったが、東洋医学に造詣が深い鍼の先生がその時このようなことを話してくれた。
「修行僧って滝に打たれて修行するよね。その時ものすごく集中している。すると見えないものが見えてきたり、聞こえないものが聞こえてくる。それを彼らは神様や仏様の声とて受け取っているんだ。君は今、受験勉強を通して、修行僧と同じことをしているんだよ。今見えている光や陽炎も奇妙に感じるかもしれないけど、心や精神は今、大きく成長しているから安心しなさい。君はいいことをしているんだよ。」って・・・。横にいた気功の先生もうん、うんと優しく頷いていた・・・。「救われた」と思った。僕は精神世界とかわからないが、「本当はよかったんだ。」って・・・。何か訳がわからなかったものを受け入れることがその時初めて出来て、帰り道、ワンワン泣いた。「よかったんだ」って・・・。
それからというもの、冷静さを取り戻し、ゆっくり生活をするようになった。勉強も虫眼鏡を使って文字を読んだり、様々な工夫をして続けた。(続く)